Q 金野桃子 議員(県民)
ChatGPTは、OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットです。全世界に大きな衝撃を与え、歓迎する声がある一方、脅威と捉える声もあり、世界的には規制する動きも出ています。日本政府は、経済成長に向けて大きな可能性のある技術だとして、現時点で規制はしない方針のようですが、課題への対応を急ぐため、関係省庁による検討を進めています。
議会においても、ChatGPTについて様々な御意見が上がっており、また、先日の知事会見でも、少しずつ概要が見え始めたところです。
そこで、私からは、少し視点を変えて教育局にお尋ねします。
文部科学省では、今後、国内外の事例を集め、専門家の意見も聞いた上で、なるべく早く方針を示す方向だそうですが、埼玉県教育委員会として教育への影響をどのように捉えるのか、教育長のお考えをお聞かせください。
また、市町村教育委員会への支援、特別支援学校での活用の在り方、教職員の負担軽減のための活用という点についてどのように考えるか、教育長にお尋ねします。
A 日吉亨 教育長
まず、教育委員会として、「教育への影響をどのようにとらえるか」についてでございます。
私は、ICTを活用した教育を積極的に推進することで、児童生徒の学びを今以上に豊かにすることを、目指しております。
ChatGPTなどの生成AIの活用については、様々な議論があることは承知しておりますが、考えをまとめる段階で、他に考えるべき観点はないか確認したり、考えを広げ深める学習活動を行ったりすることで効果的な学習になると考えます。
他方、宿題の回答や読書感想文を自動生成できるなど、活用方法によっては、児童生徒の主体的に考える力や創造性の育成への影響も懸念されます。
そこで、国が作成中のガイドラインや先行事例も参考にしながら、児童生徒の主体的、対話的で深い学びにつながるような活用方法を検討してまいります。
次に、「市町村教育委員会への支援、特別支援学校での活用の在り方、教職員の負担軽減のための活用という点についてどのように考えるか」についてでございます。
県といたしましては、先行して取り組んでいる自治体の事例などについて積極的に情報収集し、市町村教育委員会に提供してまいります。
また、特別支援学校におきましては、例えば言葉によるコミュニケーションに課題がある児童生徒が、生成AIを活用して自然な文章を作成する学習の支援に使用したり、それを使って周囲とのコミュニケーションに活用するといったことが考えられます。
生成AIなどの新しい技術は、特別支援学校の児童生徒の自立と社会参加に向け効果ある手段となる可能性が考えられますので、その活用の在り方を研究してまいります。
教職員の負担軽減につきましては、例えば、校務におけるアンケートや文案作成などの場面で、業務の効率化につながり得ると考えております。
今後、教育現場における様々な場面での、ChatGPTなどの生成AIの活用について研究してまいります。