今日は兵庫県神戸市に、①政務活動費の適正化について行政視察に伺いました。
神戸市は人口約153万人、面積約557㎢、一般会計約7,784億円の町です(平成30年4月)。
政令指定都市制度開始当初からの政令指定都市のひとつで、戸田市と比べて10倍以上大きな自治体です。
※参考 戸田市ー人口約14万人、面積約18㎢、一般会計約500億円
神戸市は港町のイメージがありますが、実際に街を歩くと都心からの視線の先に青々とした山が見え、港の香りもして、洗練された都市と緑と港も織り交ざった素敵な街でした。
他方、議会では女性国会議員と不適切な関係及び政務活動費の不正利用で辞職された男性議員がいたり、会派内で政務活動費をプールし選挙時の陣中見舞いとして配り刑事事件となったり、と世間の耳目を集めた事件も起こりました。
このようなことを受け、神戸市議会(正式には神戸市会だそうです)では政務活動費の適正化向けた取り組みが行われています。
①政務活動費の適正化
神戸市議会は定数69人、議員報酬は月額93万円/人、政務活動費は月額38万円/月で、会派に支給し個人支給ではありません。
市議会議員報酬は「西高東低」とは言えども、一般市ではなくもはや県議会と同レベルに近いと思います。
※参考:戸田市議会ー議員定数26人、議員報酬月額約45万円/人、政務活動費月額4万円/人、会派支給
※参考:埼玉県議会ー議員定数93人、議員報酬月額約93万円/人、政務活動費月額50万円/人
神戸市会は上記の不正利用等を受け、再発防止に向けた方策を検討するため、代表者会議で「政務活動費の適正使用に関する検討会」を発足し、再発防止策を強化しているそうです。
具体的には、領収書のインターネット公開、広報印刷物の提出等の透明性の確保、第三者機関による監査等のチェック体制の強化等です。
特に広報印刷物については、領収書等だけでは本当にその枚数を発注したのかチェックできないため、事務局職員の方が手作業で枚数を数えているというから驚きました。こうでもしないと不正を見抜くことは難しいようですね。
今後の課題は政務活動費の本来目的(会派の調査研究活動等に広く使用できる)と適正利用のためのルール設定とバランス、チェック機能強化に伴う事務量の増加(広報印刷物の納品部数確認作業)があるそうです。
意見交換を種々交わすなかで、政務活動費の存在意義を改めて考えました。
政務活動費は本来目的からすれば意義のある制度だと思いますが、その不正利用防止の方策のためにずいぶんと本来目的以外のところで負担が生じているように感じました。
また同時に戸田市と同じ会派支給となっており、神戸市会では月額38万円/人を会派支給しているため、議会全体で約3億円(最大会派約9600万円)もの政務活動費が支給されています。
これがまさに会派の調査研究活動等に使われれば、市民アンケートを行ったり専門家に調査を依頼したり政策勉強会に出たりと、議員活動が大変充実するように思います。(ちなみに神戸市会でも広報費が最も多く、1億円強だそうです。すごい額です。)
他方で、地方自治法上政務活動費は「会派又は議員個人」に支給されるものであり、有権者が投票するのは議員個人であって会派ではないことを考えると、会派政治のメリット・デメリットの端緒を見た気がします。
神戸市会は大変に規模が大きく、ため息が出る思いで取組みの一つ一つが大変勉強になりました。
神戸市会の皆様、どうもありがとうございました!