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埼玉県議会

〈一般質問〉 3 児童虐待について

(1)児童虐待ゼロに向けた決意・「産前産後の母親と子どもを守る」決意を
 
Q 金野桃子 議員(県民)
過去3年間において県内で起こった児童虐待死亡事例は全5件で、そのうち4件は0歳児が犠牲になっています。特に令和3年度では、4件の児童虐待死亡事例が生じ、そのうち3件は、産後間もない母親が、0歳児、いずれも生後4か月以内、首も据わっていないような赤ちゃんを手にかけたものです。
県内で生じた児童虐待という言葉の実態は、そのほとんどが産後間もない母親が生まれたての我が子を殺害したというのが事実です。改めて知事に、児童虐待ゼロに向けた決意をお聞きするとともに、児童虐待死の実態は、産後の母親が生まれたての我が子を殺害した事例であることを認識し、「産前産後の母親と子どもを守る」という強い決意をお聞かせいただきたいと思います。
 
A 大野元裕 知事
私は、子供の成長を社会全体で支えることが極めて重要であるとの考えから、知事就任以来、児童虐待対策に力を注いでまいりました。
これまで、児童相談所の職員を大幅に増員するとともに、本年3月には新たに一時保護所を付設した熊谷児童相談所を開設し、令和7年度には、朝霞市内に県で8番目となる新たな児童相談所を開所することといたしております。
また、児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、警察と連携した新たなシステムを導入し、児童相談所と警察がより詳細な情報をリアルタイムで共有をしております。
さらに、県医師会、埼玉弁護士会など児童を取り巻く様々な団体の代表メンバーとした「埼玉県児童虐待防止対策協議会」を立ち上げ、ワンチームで県全体の児童虐待防止に取り組んでおります。
子供は社会の宝であります。悲惨な児童虐待事件によって尊い子供の命が失われることがないよう、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。
次に、「産前産後の母親と子どもを守る」という強い決意についてでございます。
議員お話しのとおり、虐待による0歳児の死亡事例については、令和2年度に1件、令和3年度に3件が発生しており、いずれも生後4か月以下の乳児であります。
幼い命がなくなることは、大変痛ましいものであり、胸が締め付けられる思いであります。
そこで、支援が必要な妊婦を早期に把握し、子育て期まで切れ目なく支援することが非常に重要であると考え、県では「にんしんSOS相談事業」やワンストップでサポートする「埼玉版ネウボラ推進事業」に取り組んでおります。
今年度から実施をしているコバトンベビーギフトは、妊娠期から妊婦が行政とつながることを主眼とした取組であり、市町村と連携し、取り残される子育て家庭の解消を目指しています。
また、今年度から、母子保健部門を、児童福祉部門を担当する少子化対策局長に一体的に所掌させることにより、母子保健施策を通じた虐待防止対策を強化してまいります。
さらに、庁内において部局横断による子供・子育てに関するプロジェクトを設置し、縦割りを排し、多様な側面から支援策を検討しております。
こうした取組を通じて、子供を安心して生み育てられる環境を整備し、児童虐待の根絶を目指したいと思います。
 
(2)母子保健に特化した取組を
Q 金野桃子 議員(県民)
現在県において、福祉部では、児童虐待防止対策として、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」、埼玉県虐待通報ダイヤル「#7171」のほか、要保護児童対策地域協議会、SNSによる相談窓口、親と子どもの悩みごと相談@埼玉に取り組んでいます。
また、保健医療部では、妊娠期からの虐待予防強化事業として、県内全産婦人科医療機関及び助産所を対象とし、妊娠初期から養育支援が必要な妊産婦を把握し、訪問支援等を行っています。
現在県では、母子保健の取組について健康長寿課の中の一担当として行っていますが、女性の社会進出やライフプランの変化、ライフステージに合わせた課題も複雑多様化しています。母子保健あるいは女性のライフサポートを健康長寿課の中の一担当としてではなく、それに特化した担当課を設けるべきではないかと考えますが、保健医療部長の御見解をお伺いいたします。
また、児童虐待防止について、現在は福祉部を中心に対策が取られていますが、実際に起きている児童虐待は母子保健の範ちゅうであることを真摯に受け止め、保健医療部とも部局を横断してプロジェクトチームを作るなど、産前産後の児童虐待ゼロに向けた取組を進めるべきだと考えますが、福祉部長の御見解をお伺いいたします。
 
A 表久仁和 保健医療部長
健康長寿課の母子保健担当では、女性の心身に大きな変化が現れる、妊娠期から子供の乳幼児期において、保健指導や健康診断等を通じて、母子の健康の保持及び増進に取り組んでいます。
また、母子だけでなく、母子を取り巻く家族の健康について支援することも重要であることから、県民の健康や保健の向上を担当する課で一体的に女性のライフサポートの強化に取り組んでいます。
特に、妊娠期から産後の新生児期については、児童虐待の芽を摘む意味において非常に重要な時期であり、児童福祉部門と一体的に支援に取り組んでいくことが重要です。
そこで、今年度から母子保健担当を少子化対策局長の所掌とすることにより、児童福祉部門と連携しながら、妊娠期からの虐待予防について組織体制を強化したところです。
今後も児童虐待の防止に母子保健の観点からしっかりと取り組んでまいります。
 
A 金子直史 福祉部長
児童虐待による死亡事例において0歳児の割合が多い中、母子保健部門との連携が重要であると認識しております。
県では、児童虐待重大事例検証委員会の委員として、令和3年度から新たに母子保健分野の専門家を追加し、再発防止に向けた助言をいただいております。
また、保健医療部などの関係部局を横断した子供・子育てに関するプロジェクトを設置し、産前産後からの切れ目のない支援を行うため、県の取組等について検討を行っております。
今後は、福祉部と保健医療部の関係課が、日頃業務を行う中で抱えている課題などを共有するための連絡会議を新たに設置して、会議を定期的に開催し、さらに連携を強化してまいります。
 
再Q 金野桃子 議員(県民)
1点目、健康長寿課の中の母子保健担当についてです。
母子保健について、少子化対策局長が所管することとなり、連携した取組を推進していきたいという趣旨の御答弁でした。
現在、健康長寿課の中には、総務・歯科担当、母子保健担当、健康増進・食育担当、健康長寿担当の4つの担当課が入っているとのことです。健康長寿という言葉は、文字どおり取りますと健康で長寿を目指すというものだと思いますが、この4つの担当の担当業務、歯と口の健康、妊娠・出産に関する女性の健康、不妊症、子供の健やかな成長への支援、県民の健康増進、食生活の指導や食育、健康長寿埼玉プロジェクトの推進など、課名とすると、むしろヘルスケア課、ライフサポート、健康増進といったような課名で、高齢者であっても、働き世代であっても、子供であっても、赤ちゃんであっても、全世代に向けた、男性も女性も県民全体のヘルスケア、健康増進を進めていく役割を担っていると考えています。
人生100年時代を迎える現代社会において、その中で、特に女性のライフステージに応じたサポートをどのように担っていくお考えなのか、改めて保健医療部長に御見解をお伺いいたします。
 
2点目、プロジェクトチームについてです。
子ども・子育てプロジェクトという答弁を、他部局連携して取り組んでいきたいという趣旨の御答弁でした。このプロジェクトチームについて、単発のものなのか、それとも複数年にまたがって継続するのか、福祉部長にお伺いいたします。
また、子ども・子育てプロジェクトチームのユニット、活動テーマの設定といたしまして、児童虐待防止を取り上げられないか。正に福祉部、そして保健医療部、場合によっては警察や児童相談所、教育委員会などが部局を横断して取り組むべき課題だと感じますが、福祉部長にお伺いいたします。
その上で、まずは県庁内の連絡会議から始まるのだと思いますが、そういった取組の中で、実際に県内で産前産後ケアを行っている医療機関や助産所、NPO法人などとも連携したり、県内市町村ではそれぞれ独自の取組も始まっており、これらの好事例を共有したり当事者の声を聞いたりと、そういったコンソーシアムのようなものも考えられるのか、福祉部長にお伺いいたします。
 
再A 表久仁和 保健医療部長
健康長寿課では、母子だけでなく母子を取り巻く家族の健康について支援することも重要であることから、県民の健康や保健の向上を担当する課で一体的に女性のライフサポートの強化に取り組んでいるところでございます。
議員御指摘の、女性のライフステージに応じたサポートについてでございますが、女性にとって最も変化が大きくサポートが必要なのは、今回議員から御指摘いただいた妊娠・出産の時期であると考えます。
このため、例えば、今年度から、思春期の健康や将来の妊娠を踏まえた日々の健康相談に応じる「プレコンセプションケア相談センター埼玉 ぷれたま」を設置するなど、正しい知識の普及啓発に取り組んでいるところです。
今後も引き続き、健康長寿課の中で女性のライフステージに応じたサポートにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 
再A 金子直史 福祉部長
子供・子育てに関するプロジェクトの実施期間ということでございますが、このプロジェクトにつきましては、今年度から始まったばかりでございまして、今後、議論を進めていく中で、その継続の必要性についても検討してまいりたいと考えております。
次に、プロジェクトで、虐待防止について取り上げられないかという御質問でございますが、これについては産前産後から含めて、非常に重要な議論をしておりますので、その中で虐待防止についても検討事項ということで取り上げていきたいと思っております。
次に、医療機関やNPO法人などとの連携の関係でございますが、県では、警察、県医師会、助産師会などの医療、教育、市町村などとの関係機関の代表が一同に会する、児童虐待対策についての意見交換の場、「埼玉県児童虐待防止対策協議会」と言いますが、こちらを設置してございます。
この協議会を活用することで、議員御提案の内容について取り組むことができますので、この協議会を活用させていただきたいと思います。
 
(3)産前産後ケアの充実を
Q 金野桃子 議員(県民)
令和2年9月定例会一般質問において、私は、県の産後鬱ケア推進事業及び産後健診推進事業の2つの事業について、共に執行率が40から50%前後、毎年、予算の半分以上が使われていない実態を指摘し、このことは翌日、地元紙の1面にも掲載をしていただきました。
このときの御答弁で、産後健診の契約事務を県が代行するなど、市町村の意見を聞きながら、事務負担の軽減につながる見直しを行う旨の御発言がありました。この後の事業拡大の状況について、例えば市町村からどのような意見があったか、課題を何と捉えているのか、どのような見直しをしたか。その結果、どの程度事業が広がったかについて、保健医療部長にお伺いいたします。
また、先ほどの妊娠期からの児童虐待予防強化事業は、産婦人科医療機関及び助産所を対象とし、養育支援を必要とする家庭に対して支援を行う形式ですが、実際には、妊娠期に適切に医療機関を受診せずに出産に至ったケースや、妊娠・出産期は問題なく過ごせたものの、産後鬱の可能性も含め、夜中に泣きやまない赤ちゃんに対し突発的に行為に出てしまう例がとても多いと認識をしています。だからこそ、医療機関を受診していない妊婦に対する支援、また、現在県をはじめ行政が対象としているのはハイリスクの母親ですが、それだけではなく、いわゆる普通の母親を対象とした産前産後ケアを進めるべきだと考えますが、保健医療部長の御見解をお伺いします。
 
A 表久仁和 保健医療部長
「産後うつケア推進事業」については、市町村において、産後うつ病のスクリーニング検査である「EPDS」等を行っており、令和4年度は16市町で実施されております。
県では、この検査の実施は重要であると考え、他の事業でも実施できるよう、市町村職員等に研修を通じて普及啓発してまいりました。
現在では、乳児家庭への訪問時など、様々な機会で検査などが実施され、全市町村において産婦の精神状態が把握され、必要な支援につなげています。
また、「産後健診事業」については、令和4年度に各市町村と各産科医療機関等との間の個別契約が不要となるよう、県が一括して契約することで市町村の事務負担の軽減を図ったところ、令和5年度には全市町村において実施されております。
次に、医療機関を受診していない妊婦に対する支援及びいわゆる普通の母親を対象とした産前産後ケアを進めるべきでは、についてお答えを申し上げます。
県では、予期せぬ妊娠等の相談に応じる「にんしんSOS埼玉」を開設し、相談を契機として、未受診妊婦を産科医療機関や市町村につなぎ、その後の継続的な支援につなげています。
この相談窓口をPRするため、今年度からSNSによる広報も始めたところであり、今後もその周知に努めてまいります。
また、今年度から、妊娠から出産・子育て期において経済的支援と伴走型支援を一体的に行う「出産・子育て応援事業」が始まり、産前産後ケアの充実を図ったところです。
具体的には、全市町村において「妊娠届出時」及び「出生届出後」における面談に加え、妊娠8か月頃にアンケートを行うことで、全ての妊産婦について、少なくとも3回、状態を把握する機会を持つようになりました。
このほか、新生児訪問や乳児家庭全戸訪問を行うことにより、子育て家庭の相談に対応し、必要な支援につなげています。
今後も、産前産後ケアが必要な母親を漏れなく・切れ目なく支援するため、市町村と連携して取組を進めてまいります。
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