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〈一般質問〉3 教育改革について

(1)「社会に開かれた教育課程」を実現していくビジョンを
 令和2年からの新学習指導要領では、「よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創る」という理念を学校と社会が共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。
 子どもたちが羽ばたいていく社会を、学校も知ることは大切です。社会が変化する動きが教室の中に入っているでしょうか。 国、文部科学省と市町村教育委員会が直接つながり、最先端の教育を進めていくなかで、県教育委員会の存在意義はどこにあるのか、市町村教育委員会を支援するだけではなく、「社会に開かれた教育課程」を実現していくための県教育委員会としてのビジョンを教育長にお伺いいたします。
教育長:金野桃子議員の御質問3「教育改革について」の(1)「社会に開かれた教育課程を実現していくビジョンを」についてお答えを申し上げます。
 議員お話しのとおり、令和2年度から小中学校で順次実施されている新しい学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すことがポイントの一つとして示されています。
その実現のためには、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を共有するだけではなく、必要となる学習の内容や児童生徒に身に付けさせたい資質・能力を学校と社会が共有し、連携・協働することが重要であると考えます。
 そのため、県教育委員会では、地域と連携・協働した教育の推進を施策の柱に掲げ、地域学校協働活動の推進や「学校応援団」の充実、コミュニティ・スクールの設置推進など、学校と社会が連携する取組の充実に努めています。
 市町村教育委員会とも連携し、学校応援団が多彩な活動を展開し、コミュニティ・スクールの設置も進むなど、学校と地域が協働する体制が充実してきております。
 一例として、地域にお住まいの企業を退職された方や研究者の方から、小学校のプログラミング教育に関するアドバイスを得て、授業改善が進んだ事例など、子供たちの学びの質が高まっていることなども報告されています。
 今後とも、学校と地域の住民、企業や団体等との連携・協働を発展させることにより、全ての小中学校において社会に開かれた教育課程が実現できるよう取り組んでまいります。
(2)特別免許状の活用を
 教職については、高度な専門性から免許状主義が採られており,大学での養成が原則ですが、優れた知識・経験等を有する社会人等を教員として採用し、学校教育の多様化・活性化を図るために、「特別免許状」制度があります。
 これは、都道府県教育委員会が行う教育職員検定により授与し、当該都道府県でのみ教鞭をとることができる制度であり、中央教育審議会もその活用を進めています。
 しかし、調査したところ、埼玉県教育委員会は、特別免許状の授与を開始した平成15年以降、県教育委員会の採用に係る公立小・中学校の授与実績は1件もありません。
 文科省は、このように公立学校における授与が進んでいないことや科目の偏りがあること等から、令和3年5月に改めて特別免許状の積極的活用を求める通知を出し、更に今年4月に文部科学省は教員不足を受け、全国の教育委員会に緊急で通知を出しています。
 他の都道府県教育委員会では、ホームページ上で特別免許状を案内し、「特別免許状の授与に係る教育職員検定等の指針・要綱」等も公表する等取組みもし、授与実績もあります。
 埼玉県では、令和4年7月1日現在、県教育委員会の任命に係る教員が未配置・未補充となっている件数は、小学校91人、中学校27人、高校3人、特別支援学校33人で合計154人とのことです。この未配置・未補充の問題は教員不足の問題の表層に過ぎず、「社会に開かれた教育課程」を目指す意味でも、多様な専門性を有する教員組織の構築が必要と考えます。教員の採用は市町村教育委員会ではできず、県教育委員会ができる重要な役割であり、潜在的教員、つまり教員免許を持っているけれども働いていない人材の掘り起こしと同時に、文科省の通知や市町村教育委員会の声を聞き、特別免許状の活用を積極的に進めるべきだと考えます。
 具体的には、市町村教育委員会及び学校等と十分に連携して特別免許状の積極的な授与を行うこと、教育委員会ホームページで案内し、指針や要綱等を公表すること、また、新卒者とは別の,例えば民間企業等での勤務経験を適切に評価し、特別免許状を活用した社会人特別選考の実施を促進すべきと考えますが、教育長にお伺いいたします。
教育長:次に、(2)「特別免許状の活用を」についてお答えを申し上げます。
 議員お話しのとおり、特別免許状を活用することで、優れた知識や経験を有する社会人を教員として迎え入れることが可能となり、学校教育の多様化や活性化が期待できます。
 そのため、県では、県立学校の教員として、これまでも看護師資格を有する者を対象とした社会人特別選考試験を実施してまいりましたが、令和2年度からは、民間企業などにおいて高い英語力を活用した実務経験を有する者を対象とした試験を新たに始めました。
 採用された教員は県立高校で熱心に職務に励んでおり、民間で培った実践力や経験を、授業はもとより進路指導などの場面でも生かしていると聞いており、今後もこうした特別選考を進めてまいります。
 一方、特に小学校では、その特性上、教員には、すべての教科を一人で指導することや児童の発達段階に応じたきめ細かな指導を行う必要などもあり、特別免許状の授与に当たっては、そうした観点にも配慮して慎重に検討することが必要です。
 こうした観点を含め、市町村教育委員会や学校等の意向や要望等を踏まえた上で、十分に連携を図りながら、特別免許状の授与が進むよう検討してまいります。
 また、指針や要綱等のホームページによる公開は速やかに実施し、この制度を広く周知することにより、特別免許状の積極的な活用を図るよう努めてまいります。
こんの:再質問させていただきます。3 教育改革について(2)について
市町村教育委員会に対し、県教育委員会が「特別免許状」制度を積極的に活用する姿勢を示し、その活用の意向があるか、確認することはできないか、教育長にお伺いします。
教育長:御質問3「教育改革について」の(2)「特別免許状の活用を」についての再質問にお答えを申し上げます。
 議員からは、特別免許状を積極的に活用するという姿勢を明確に打ち出して、市町村からの意向を確認しながら、しっかり検討せよという御質問だったと受け止めております。
 社会人の民間で培った豊かな経験を教育に生かしていただくことは、冒頭の答弁で申し上げましたとおり、社会に開かれた教育課程を実現するという意味でも非常に有効な手立ての一つだと考えております。
 また、子供たちにとりまして、社会で活躍された方から直接教えを乞うということは、自分たちの学びが社会につながっているということを実感する上でも、大きな役割を果たすものと考えております。
 議員のお話にありましたとおり、これから小中学校も含めて、特別免許状をいかに活用できるかということをしっかり検討させていただいて、市町村の意向も十分踏まえた上で、活用に向けて取り組んでまいります。
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