今日から1泊2日で文教・建設常任会の行政視察のため、福岡県春日市と山口県下関市にお伺いしました。
いずれの視察テーマは「コミュニティスクールの取組みについて」で、今年度から戸田市で始まったコミュニティスクールの取組みの参考にするため、今年度の文教・建設常任委員会の年間活動テーマにもなっています。
福岡県春日市は、人口約11万3000人(平均年齢約42歳)、面積約14㎢で、福岡市のベットタウンとして発展しています。
人口や面積の点、都市部のベットタウンとして発展している点、市民の平均年齢が若く、人口の流出入が多いという点で似ていますね。小学校12校、中学校6校という点も戸田市と同じです。
他方で、自治会を中心として地域の行事が活発で、自治会加入率が平均約77%(60.1%~95.7%)という点では、戸田市より地域・自治活動が活発な面もあるようです。もしかしたら、コミュニティスクールの充実と自治活動の充実は、相乗効果があるのかもしれませんね。
そもそもコミュニティスクールは、学校運営や必要な支援等について話し合う学校運営協議会制度を導入した学校を指し、もともとは国の中央教育審議会答申(いわゆる”中教審”)で方針が示され、平成29年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により、全国的に一気に広がりました。
九州地方は比較的導入率が高く、大分県の約30%を始め、福岡県内でも春日市(平成17年導入、九州初)を筆頭に多くの自治体で導入されています。
春日市では平成17年に九州で初めてコミュニティスクールを導入したのち、平成20年には全小学校、平成22年に全中学校で導入され、現在すべての小中学校でコミュニティスクールが導入されています。これまでの取組みは書籍化もされ、全国から多くの視察があるそうです。
予算額は総額約520万円(平成29年度)で文科省補助、国県補助金を活用し、市負担額は約400万円です。
春日市のコミュニティスクールの取組みの特徴としては、例えば、①目的設定にあたり双方向の関係構築による共有を行う点、②学校運営協議会の位置づけを明確化することによる協同・責任分担方式とする点、③学校運営協議会の下に実働推進組織を設けている点、④社会に開かれた教育課程としている点、⑤家庭・地域とつなぐ経営・運営が行われている点があります。
特に特徴③学校運営協議会で協議・承認された内容を課題ごとに具体化・具現化する実働推進組織については、学校・家庭・地域の三者協同を強調する合同部会タイプや、三者の各役割を強調する三部会組織タイプ等があり、それぞれの形で推進しています。
また、特徴④社会に開かれた教育課程としている点については、地域を活かす(例、保護者にミシンの使い方を習う)、地域を学ぶ(高齢者から地域の自慢を聞く)、地域と学ぶ(親子進路学習会)、地域に返す(発見校区の良さ)という流れがあります。この他、学校と公民館等にそれぞれの情報発信の場があることも好事例です。
このような保護者、地域、学校の”共育”の取り組みの結果、子どもの社会性・市民性が大きく向上し、学校と地域の関係性、学校の活性化、学力の向上等にも効果が表れているとのことでした。
子どもにとって学びや体験活動が充実するといった魅力、教職員にとって地域の理解・協力を得た学校運営ができるといった魅力、保護者にとって学校や地域に対する理解が深まるといった魅力、地域にとって経験を生かして生きがいや地域のよりどころを得られるといった魅力があるそうです。
質疑応答では、種々様々な意見交換ができましたが、私からは、コミュニティスクール導入によって保護者や地域から意見を言えることによるデメリットやトラブルはなかったのかお伺いしましたが、導入時にご尽力された校長先生方からは、そのようなことはなく、むしろ学校にとって良い意見を言ってもらえたという力強いご感想を頂けました。
また、地域は町会・自治会の方となり、一部の方の負担が多くなり、一般の保護者の方の参加が難しいのではないかとお伺いしましたが、やはりこの点は課題の一つとのことでした。
今回の視察を通して、春日市は戸田市と似たような特徴を持つ町で、すでにコミュニティスクールを導入して10年以上の実績のあり、コミュニティスクールの魅力を存分に感じることができました。
特に、春日市においては「市民性を育てる」という目標と、そのための取組みや実績・効果を見て、教育とは何か、公教育の果たす役割は何かの考えの幅が広がったように思います。
春日市の皆さん、お忙しい中、行政視察をお引き受けいただき、誠にありがとうございました。