6 地元問題について
(2)笹目川及び戸田公園周辺の治水対策を
昨年10月の台風第19号に際し、被害に遭われた皆様に深くお見舞い申し上げます。
私の地元の戸田市では、荒川から笹目川に逆流する水を防ぐために笹目水門を閉めたことにより、本来であれば荒川に流れるべき水が同じく笹目川とつながっている戸田公園ボートコースに押し寄せました。その結果、ボートコースの水があふれ、周辺一帯が水につかるという甚大な被害が生じました。
私のもとには、ものの数十分で腰まで水につかり、真夜中に二段ベッドの上で子どもを抱きかかえて一晩夜を明かしたと涙ながらに語る声が届いています。浸水した自宅の片づけ等のため、1か月以上ママ友の家を転々としたそうです。
ここで、大変驚いたのですが、県から地元市町村である戸田市に対し、水門周辺の河川水位の情報提供はあったものの、水門を閉めた事実を情報提供していなかったということです。笹目水門を閉めれば、笹目川の水が戸田公園ボートコースに流れこむことは容易に想像でき、地元市町村としてもそれを想定して避難指示等を出すこともできます。水門を閉めた旨を伝えたのかどうか、もし伝えていないのであれば、今後は関係市町村に対し、可及的速やかに情報提供をすべきと考えますが、県土整備部長の御所見をお伺いします。
また、今回このように笹目川の水が戸田公園ボートコースに流れ込んだのは、笹目川と戸田公園とをつなぐ取り入れ水門の構造にも起因しています。こちらをご覧ください。手前側が笹目川で奥が戸田公園ボートコースですが、水門の上部・両脇、写真で言うところの黄色い部分が、赤色で示された笹目川の護岸より低く、簡単に水門の上部・両脇より越水し、戸田公園ボートコースに水が流れ込みます。ここは平成27年度に完成した笹目川の「川のまるごと再生プロジェクト」のときも整備されておらず、数十年間にわたりこのままの状態だそうです。笹目川の水が戸田公園ボートコースに流れ込む結果、笹目川は越水を防ぐこととなります。それであれば、戸田公園を「調節池」または「遊水地」として指定する考えはないのでしょうか。県土整備部長にお伺いします。
あるいは、「調節池」「遊水地」として指定しないのであれば、笹目川の水が戸田公園ボートコースに流れ込まないよう、笹目川護岸と同じ高さまで整備すべきと考えますが、県土整備部長の御所見をお伺いします。
さらに、台風や豪雨が来そうな場合に、あらかじめ水を抜き、水量が増加した場合に備えることはできないでしょうか、併せてお伺いします。
<県土整備部長>
御質問6「地元問題について」の(2)「笹目川及び戸田公園周辺の治水対策を」についてお答えを申し上げます。
昨年の台風第19号の際、戸田市内では24時間雨量で約300ミリメートルもの降雨となり、戸田公園ボートコースの放流先である菖蒲川では、河川整備計画で想定している降雨を超える豪雨となりました。
このため、菖蒲川では三領排水機場において最大能力で荒川にポンプ排水したものの、非常に高い水位が続き、ボートコースをはじめ、流域内で降った雨が菖蒲川に排水できず、内水被害が発生したと考えています。
また、戸田公園に隣接する笹目川でも笹目川排水機場において最大能力で荒川にポンプ排水したものの、「取入水門」の上部からボートコース内へ洪水が流入したことを把握しております。
ご質問の水門閉鎖時における市町村への情報提供でございますが、笹目水門は、洪水時に荒川から笹目川への逆流を防止する施設として国土交通省が管理しており、国からの委託を受け、県が洪水時の操作をしております。
水門開閉時の情報伝達については、水門を操作するさいたま県土整備事務所から国土交通省荒川下流河川事務所に報告することとなっております。
更にその情報を、荒川下流河川事務所から「洪水対策計画書」に定める関係機関へ通知することとなっております。
水門周辺の水位情報や排水機場の稼働状況は、これまでも情報提供しておりましたが、水門開閉時の情報伝達については、国の計画書に定める関係機関に流域市が含まれていなかったことから、今年度、戸田市を含む流域市を関係機関に加えております。
次に、戸田公園を「調節池」または「遊水地」として指定することについてでございます。
ご質問の「取入水門」については、設置されて以来、地盤沈下によって低くなっており、改修の必要性があることは認識しております。
そのため、「取入水門」を改修する方向で協議調整をしており、現時点においては、戸田公園ボートコースを「調節池」または「遊水地」として指定する予定はございません。
次に、「取入水門」の整備についてでございますが、現在、水門を管理する公園管理者などと協議調整を進めており、改修する場合には、水門改修のほかに笹目川で必要となる治水対策なども含め検討をしてまいります。
最後に、ボートコースの水位をあらかじめ下げておくことについてでございますが、平成15年度より、公園管理者などの協力をいただき、ボート競技の再開に支障を及ぼさない範囲で、あらかじめ水位を下げておく運用を行ってまいりました。
台風第19号の後、この運用について改めて協議を行い、さらに10センチメートル水位を下げられるよう、現在、ボートコース施設の改修を実施していただいております。
引き続き、関係機関との連携を図りながら、複数の河川が関係して浸水被害が発生したメカニズムの検証や、実現可能で効果的・効率的な対策の検討を進め、浸水被害の軽減を目指してまいります。