(2)県立小児医療センターにおける対応の拡充を
私のもとに、難病・小児慢性特定疾病にり患し、地元の病院では診察が困難と言われ、県立小児医療センターにて治療をしているお子さんの保護者からご相談がありました。このお子さんは、通院で治療ができ、激しい運動を避けるなどに気を付ければ通常の保育園に通えるとの診断でした。これまで通っていた保育所や病児保育に通うためには診断書が必要でしたが、診断書を作成依頼するまでに時間がかかってしまいました。その後、診断書の作成依頼を行いましたが、一般的に診断書が出るまでに1か月程度かかるため、最終的に受け取れたのは初診から2か月以上経った後でした。
この間、医師の診断書がなかったために、それまで通っていた保育園では、保育を断られ、病児保育も診断書がないため原則として利用できず、また市役所も診断書がない状態で適切なサポートにつなぐことが難しかったようです。
県立小児医療センターでは、NICU/新生児集中治療室やGCU/NICUから移行した治療室で治療を受けた子どもには「養育支援連絡票」が出され、市町村等との情報共有に使われているとのことです。しかし、NICUやGCUを経ていなくても、難病・小児慢性特定疾病等にり患した子どもの保護者が、診断書が出るまでの間、病気の疑いがあると分かってからすぐに動けるように連絡票を作ったり、また、診断書が出た後も、住んでいる自治体や通っている保育園・幼稚園・学校等と連携を取りやすくするための連絡ノートを作ることはできないでしょうか、病院事業管理者にお伺いします。
また、今回のように、病院側からすれば一見すると特段問題はないように見えても、通園・通学の問題や経済的な心配など、何らかの不安を抱えていたりするのが当然です。そこで、ソーシャルワーカーのアウトリーチ型でのサポートを原則とする、あるいは、看護師からソーシャルワーカーへ相談できる旨の声掛けを徹底できないでしょうか、病院事業管理者にお伺いします。
<病院事業管理者>
御質問3「子育て政策の充実について」の(2)「県立小児医療センターにおける対応の拡充を」についてお答えを申し上げます。
まず、病気の疑いが分かってからすぐ動けるようにするための連絡票を作ったり、自治体や通っている保育園・幼稚園・学校等と連携を取りやすくするための連絡ノートを作ることはできないかについてです。
センターに通う患者さんは症状が様々であり、個々にきめ細やかな対応が必要であるため、日常生活に必要な手続きは診断書に基づいて判断されます。
御提案の連絡ノートは、御家族が患者さんの療育状況を記録することで、これまでの経緯の把握ができますが、患者さんの状況のより正確な共有のためには、医師等との直接的な対話が最も効果的であると考えます。
そのためセンターでは、保護者と相談の上でソーシャルワーカーが関係機関と直接連絡を取るなど、互いに顔が見える関係の構築を大切にしています。
今後は、よりきめ細やかな支援を行うため、例えば保育園に必要な手続きなど、よくある相談内容と回答をまとめたQ&Aを診察時に配布するなど、関係機関への諸手続きの準備が円滑に進むよう努めてまいります。
次に、ソーシャルワーカーのアウトリーチ型でのサポートを原則とする、あるいは、看護師からソーシャルワーカーへ相談できる旨の声掛けを徹底できないかについてです。
現在、センターでは患者さんとその御家族の不安を取り除くため、受診の際に医療スタッフが公的支援の案内を含め様々なアドバイスを行っています。
これまでも、職員が常駐する専用の相談窓口を会計横に設け、院内掲示ポスターなどでも患者さんをご案内し、7名のソーシャルワーカーが年間1万件を超える相談に対応しています。
更に適切な支援を行っていくためには、早期から必要な患者さんにアプローチしていくことが必要です。
今後は、初診の診療申し込み時に相談窓口のご案内を漏れなくお渡しし、さらに、看護師とソーシャルワーカーがより緊密に連携して今まで以上に相談しやすい環境を整えてまいります。